■ 抄録・要旨
| 我が国の主要穀物である水稲の収量に対するオゾンの影響とその品種間差異を検討するために2008〜2010年の3年間において水稲8品種を用いたオゾン暴露実験を行った。その結果に基づいて、農作物保護の観点から考えた場合の適正な(許容できる)オゾンレベルについて検討するために、オゾンのクリティカルレベルの評価を行った。
それぞれの水稲品種において、昼間の40ppb以上のオゾン濃度の積算ドースであるAOT40と、浄化空気区の収量を100とした時の各オゾン処理区の収量の相対値(相対収量)との関係について検討した結果、収量に対するオゾンの影響は品種によって異なっていた。また、各品種についてAOT40と相対収量との直線回帰式を求め、欧州で用いられているオゾンのクリティカルレベル(収量が−5%時におけるAOT40値)を検討した結果、4ヵ月のAOT40値で、オゾン高感受性のキララ397で5.4ppm・h、オゾン低感受性のふさおとめで14.0ppm・hであった。
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